材料特性:アルミニウム

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主なアルミニウム合金の特性及び用途

合金系統 JIS呼称 材料特性の概要 用途
純アルミ
(1000系)
1080 成形性,表面処理性が優れ、耐食性はアルミニウム合金中最良である。強度は純アルミニウムであるため低いが、純度が低くなるにつれて多少高くなる。 銘板、装飾品、化学工業タンク類、熱交換器、化学装置、配管用
1070
1050 熱交換器、化学装置、装飾品、複写機ドラム、配管他一般用
1100 Al純度が99.0%以上の一般用途のアルミニウム。陽極酸化処理後の外観がやや白っぽくなる以外は上記と同じ。 台所用品、フィン、キャップ、印刷板建材
Al-Cu
(2000系)
2011 快削合金。切削性が優れ、強度も高いが、耐食性が劣る。 自動機用快削棒(スーパーマシナロイ)
2014 Cuを多く含むため、耐食性は良くないが、強度が高く、構造用材として使用される。鍛造用にも適用される。 航空機、自動車、二輪車などの各種機器部品、鍛造用
2017 航空機、自動車、二輪車などの各種機器部品、一般切削用
Al-Mn
(3000系)
3003 1100より強度が約10%高く、成形性、溶接性、耐食性に優れる。 純アルミよりやや強度のある熱交換器用、複写機ドラム
3004 3003より強度が高く、深絞り性に優れ、耐食性も良好である。 アルミ缶ボディ、電球口金、屋根板カラーアルミ
Al-Mg
(5000系)
5052 中程度の強度をもった最も代表的な合金で、耐食性、加工性が良い。特に強度のわりに疲労強度が高く、耐海水性が優れている。 純アルミより強度のある一般用、事務機器、カメラ
5056 耐食性に優れ、切削加工による表面仕上がり、陽極酸化処理性とその染色性が良い。 純アルミより強度のある一般用、切削用、カメラ、事務機器
5083 溶接構造用合金。実用非熱処理合金の中で最も強度の高い耐食合金で溶接構造に適する。耐海水性、低温特性も良い。 溶接構造・配管用
Al-Mg-Si
(6000系)
6061 熱処理型の耐食性合金。T6処理によりかなり高い耐力値が得られるが、溶接継手強度が劣るためボルト、リベット構造用に。 耐食性、強度を必要とする用途、配管、軟式用バット
6063 代表的な押出用合金。6061より強度は低いが、押出性に優れ、複雑な断面形状の形材が得られ、耐食性、表面処理も良好。 家具・日用品・配管他一般用、エアーシリンダー管、コピードラム
6N01 中強度の押出用合金。6061と6063の中間の強度を有し、押出性、プレス焼入性とも優れ、複雑な形状の大型形材が得られる。耐食性も良く溶接も可能。 車両、陸上構造物用、船舶
Al-Zn-Mg
(7000系)
7003 7N01よりは強度は若干低いが、押出性が良く、薄肉の大型形材が得られる。 車両
7N01 溶接構造用合金。強度が高く、しかも溶接部の強度が常温放置により、母材強度に近いところまで回復する。耐食性もかなり良好。 溶接構造用
7075 アルミニウム合金中最高の強度を有する合金の一つであるが、耐食性は劣る。7072とのクラッドにより耐食性は改善されるがコストが高い。 強度最高、航空機などの機器部品

主なアルミニウム合金の機械的性質及び物理的性質

合金系統



機械的特性の代表値 物理的性質の代表値 特   性
質別 引張
強さ(N/mm2)
耐力(N/mm2) 伸び(%) 比重(20℃) 導電率(20℃)
IACS(%)
熱伝導率(cal/℃・
cm・sec)















純アルミ
(1000系)
1080 O 68 29 50 - 2.70 62 0.56 A A A D A A
1070 H112 68 29 - 40 2.70 62 0.56 A A A D A A
1050 H112 78 34 40 - 2.70 61 0.56 A A A D A A
1100 O 90 35 35 42 2.71 59 0.53 A A A D A A
Al-Cu
(2000系)
2011 T8 405 310 - 10 2.82 45 0.41 D D D A C D
2014 T6 485 415 - 11 2.80 40 0.37 D C D B C D
2017 T4 425 275 - 20 2.79 34 0.32 C C D B C D
Al-Mn
(3000系)
3003 O 110 40 30 37 2.73 50 0.46 A A A D A A
3004 O 180 70 20 22 2.72 42 0.39 A B B D A A
Al-Mg
(5000系)
5052 H34 260 215 10 12 2.68 35 0.33 B A C C A A
5056 H34 294 245 - 12 2.64 27 0.26 A A D C A A
5083 O 290 145 - 20 2.66 29 0.28 B A D D A A
Al-Mg-Si
(6000系)
6061 T6 310 275 12 15 2.70 43 0.40 B A A C A B
6063 T5 185 145 12 - 2.69 55 0.50 C A A C A A
6N01 T5 270 225 - 12 2.70 46 0.45 C A A C A A
Al-Zn-Mg
(7000系)
7003 T5 314 254 - 15 2.79 37 0.36 C B D B C B
7N01 T6 360 295 15 - 2.78 36 0.33 C A D B C B
7075 T6 570 505 11 9 2.80 33 0.31 D C D B C C

主なアルミニウム合金の化学成分

合金系統 JIS
呼称
化 学 成 分 (%)
Si Fe Cu Mn Mg Cr Zn Ti その他 AI
純アルミ
(1000系)
1080 0.15 0.15 0.03 0.20 0.20 - 0.03 0.03 GaO.03,V0.05 99.80
以上
1070 0.20 0.25 0.04 0.03 0.03 - 0.04 0.03 V0.05 99.70
以上
1050 0.25 0.40 0.05 0.05 0.05 - 0.05 0.03 V0.05 99.50
以上
1100 Si+Fe0.95 0.05

0.20
0.05 - - 0.10 -   99.00
以上
Al-Cu
(2000系)
2011 0.40 0.7 5.0

6.0
- - - 0.30 - Pb0.20

0.6,
Bi0.20

0.6
残部
2014 0.50

1.2
0.7 3.9

5.0
0.40

1.2
0.20

0.8
0.10 0.25 0.15 Zr+Ti0.20 残部
2017 0.20

0.8
0.7 3.5

4.5
0.40

1.0
0.40

0.8
0.10 0.25 0.15 Zr+Ti0.20 残部
Al-Mn
(3000系)
3003 0.6 0.7 0.05

0.20
1.0

1.5
- - 0.10 -   残部
3004 0.30 0.7 0.25 1.0

1.5
0.8

1.3
- 0.25 -   残部
Al-Mg
(5000系)
5052 0.25 0.40 0.10 0.10 2.2

2.8
0.15

0.35
0.10 -   残部
5056 0.30 0.40 0.10 0.05~
0.20
4.5

5.6
0.05

0.25
0.10 -   残部
5083 0.40 0.40 0.10 0.40~
1.0
4.0

4.9
0.05

0.25
0.25 0.15   残部
Al-Mg-Si
(6000系)
6061 0.40

0.8
0.7 0.15

0.40
0.15 0.8

1.2
0.04

0.35
0.25 0.15   残部
6063 0.20

0.6
0.35 0.10 0.10 0.45

0.9
0.10 0.10 0.10   残部
6N01 0.40

0.9
0.35 0.35 0.50 0.40

0.8
0.30 0.25 0.10 Mn+Cr0.50 残部
Al-Zn-Mg
(7000系)
7003 0.30 0.35 0.20 0.30 0.50

1.0
0.20 5.0

6.5
0.20 Zr0.05

0.25
残部
7N01 0.30 0.35 0.20 0.20

0.7
1.0

2.0
0.30 4.0

5.0
0.20 Zr0.25,V0.10 残部
7075 0.40 0.50 1.2

2.0
0.30 2.1

2.9
0.18

0.28
5.1

6.1
0.20 Zr+Ti0.25 残部

注 範囲で表示していない数値は最大値を示す
日本アルミニウム協会発行アルミハンドブックより抜粋